SODA KO の造形
靴をつくることを生業にしたいと上京した一年目、製靴を学ぶ職業訓練校の夜間部で曽田耕さんに出会いました。耕さんは昼間部を一年通い、夜間部は底付けの平田先生の授業だけ出席していると話した記憶があります。試行錯誤をくりかえした後、耕さんの作品に触れ、方法や考えがすでにあることにがっかりしたことが多くありましたが、最近は先を歩く存在に感謝の方が多いかもしれません。2014年より年に一度、曽田耕という作り手に触れる機会をつくっていました。昨年は企画が出来ぬまま一年が過ぎてしまい、2017年を振り返っていたころエフスタイルさんで開催される展示のご案内を頂きました。あした最終日ですがお近くの方はぜひ触れてみて頂きたいです。以下はフライヤーにある耕さんのメッセージ。
そろそろ真面目と不真面目について一段掘り下げる時が来ている。仕事をする、物を作る、と言う時に真面目さは欠かせないと思う。自分だったら協働する時に、まずこの事を共有しておきたい。聞いてはいないがエフのお二人も同感に違いない。ただしこれには時間がかかる。世の中では合理化して契約という発明もあったが、それは歪みを生んでしまった。ここは急いではいけない。その事を知っているエフは決してここを急がない。さて、時間をかけて認識を共有した後、個人的に求めるのは真面目の上にのっかるある種の不真面目さなのです。真面目の上をどこまで登っても真面目だけ乗っているのを優等生と呼ぶなら、字のごとく既存の等級の内。つまりそのニーズは今やAIに向かっている。これらは何といっても自立が出来ない。それでは良いようによっては不純と言えないか。真面目上に乗っかる不真面目、これでは長いから、仮にエフマジメと呼んでみる。2015年のエフスタイルでの100bags展のポスターは、ピンクの紙に黒トナー1色刷りだったのをご記憶だろうか。今でも大変気に入っている。感情的衝動だけのことではない、純粋な熟考の下地が当然存在している。デザインとかセンスとか技術とかにすっかり飽きている自分は、あの日「あッ」と思わされた。この先の未来を見ようとした時に、エフマジメは馬力ある方法と成るはずだ。
プロフィール:曽田耕
1971年生まれ。東京都墨田区にて制作。靴や鞄を制作して25年以上。全国各地で「100bags」の巡回展、工房では2年に一度「100SHOES」を開催。
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01. 13 , 2018