キズに印のついた裁ち落とし
裁ち落としをつなぎ合わせたクッション
自然乾燥させている工場さんの風景
革を平らにする作業
皮と革
これまで「余り革」「残革」と表現してきました。最近革屋さんとの打ち合わせで、「余りとかじゃないけどね」と言われました。
革を鞣す工場さんをタンナーといいます。皮から革にする工程です。
「皮を鞣す」また「鞣し皮」の「鞣す(なめす)」とは。
動物の皮は柔軟性に富み非常に丈夫ですが、そのまま使用すると腐敗したり、乾燥すると硬くなり柔軟性がなくなります。
この欠点を樹液や種々の薬品を使って取り除く方法を「鞣し」と言います。
鞣していない状態を「皮」、鞣したものを「革」と表記し区別しています。
古代人の衣服は、動物の皮を利用していました。動物の脂や草や木の汁につけたり、煙でいぶしたりして、腐敗や硬くなるのを取り除いていました。この「鞣し」のはじまりから、最も発展した方法は、草や木の汁を使う方法で、現在「タンニン鞣し」として行われています。タンニン鞣しは、草木の中に含まれているタンニン(渋)とコラーゲン(たんぱく質)を結合させて鞣す方法です。化学の進歩により改良され種々の用途にしたがって容易に「鞣す」ことが出来るようになりました。草木を利用する方法に加え、金属を用いて鞣す方法も発見され、革の用途も広くなり、品質も著しく向上しました。
革で靴や鞄などの立体物を作るとき、通常きれいなところを使うことが一般的です。
キズの在るものより、無いものの方が好まれるのは当然なのですが、トートーニーでは使用上とくに問題のないものは敢えてキズも使用しています。
また、色斑やダニにさされた跡、鞣しの工程中で削ぐ刃物の鉄分と反応して黒い斑点が出たりもしますが、それも商品にしています。
2015年まで、1ピース・2ピースで出来る商品が多く、裁ち落としを100ピースくらい繋げるとまた一枚の革ができるので、個展のタイトルを
「1・2・100ピース」展とし、生産のときにキズを敢えて入れることにしていても、大きすぎるものは避けて生産していたので、素材を使い切るために試みました。
キズやペン跡はそのままの集合体でもあるプロダクトは、2017年秋より自社の裁ち落としだけでなく、産業で出る裁ち落としも使用することになります。
素材をつくる人にとっては一枚の革なので「余りとかじゃない」だったのです。
「余り革・残革」に変わる別の表現はすぐには思い付かないのですが、どのような部位が主に余りになるか、また改めて記すことにします。
06. 27 , 2017
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